樹木→木製品は変化がわかりやすいが、木が朽ちるとは水分(保水性)がなくなることにより、木の細胞間のつなぎがなくなることで起こります。建材類でわかりやすいものに、木製品以外にコンクリート建築物が朽ちることも、ある程度以上、物質に水が含まれる率「含水率」が低下したとき、内部崩壊(内部酸化現象)がおこり、一気に強度剛性力が低下します。
木造建築物で奈良斑鳩にある法隆寺の建物は、1300年を超えてなぜ朽ちることがないのでしょうか。これは、結合水の異なりによるもので、さらに蒸散しにくい結合水を保ち、含んでいるヒノキ(スギ)による建築物であることがうかがえます。当時の設計や建築に携わった人々はある地域のヒノキ(スギ)が朽ちにくいことが調査済みであったと思われます。しかし、この結合水による保水率の異なりで、さぞかしその重量により、運搬はかなり困難なものがあったと思われます。また、加工においてもさらに難しかったことが考えられます。しかし、当時の担当者はこの地域のヒノキ(スギ)を選んだ・・・のです。
その並大抵ではない耐候性、耐久性がすべてを制するポイントになっているからです。
結合水の異なりや結合水の安定性が、すべての建材の耐候性、耐久性を左右します。たとえ、金属であっても、その素性が崩れることがあります。それは、「含水率」がある程度以上一気に低下したときにおこります。建材に水は大敵とされる「水」とは、自由水(相手に付着し、蒸散する時に相手の物質を取り込み一緒に蒸散させてしまう・・・建材が劣化する)の悪さによるものです。
建材類を含む物質の早期の劣化を防ぐ(建材に使用される各剤も含め)には、その結合水をいかに安定させられるかの一言につきます。VOC類の発生とは、この物質に存在する結合水が崩れるとき、その周辺の物質を構成する剤を崩壊させ、その一部を気化させてしまうことが原因で起きています。
VOC類の発生を抑制することと、物質の耐候性・耐久性を向上させることは、物質に存在する結合水をより安定させることで両立することが可能になります。結合水が崩れるということは、H2O水のまま蒸散するのではなく、H2Oから水素が解離し、蒸散(他の物質を伴って)し、残されたオゾン寄りの酸素(オキシダント)が内部で酸化現象を引き起こすことになります。